2 大島堅造著『山の古典と共に』茗渓堂 (1969定価1500
  復刻版 図書出版社 (2002) 定価3605

   大島堅造氏(1887 1971)は住友銀行の要職を勤められた国際金融、外国為替の権威。
財閥解体時に住友を辞された後、甲南大学経済学部教授(19541959)、大蔵省各種委員、
神戸市教育委員などを歴任された。元住友山岳会会長。 甲南山岳会員ではないが、甲南大
経済学部の発足に尽力され、財界出身の長老教授として在籍されたこともあったのでここ
に取り上げた。

 本著は著者の大正時代からの北アルプス登山を初めとする内外の登山紀行に加え、書名にもあるように、
数々の「山の古典」を通じた世界の高峰の登攀記録に関する研究、論考
などの旧稿新稿をまとめて晩年に
出版されたもの。
日本の山の昔話も良し、更に海外高峰の登山史の周辺もまた良し。このような趣味を持たれた
碩学の登山家が、筆者の在学時に甲南に在職されていた事を迂闊にも存じ上げなかった。後に本書の奥付の
著者略歴で知った時は後の祭りだった。

 また、本書では触れられていないが、長男の寛一氏は神戸一中在学中、積雪期の槍・穂高での甲南高校山岳部の
合宿に参加、槍ヶ岳などに登頂している。一行は伊藤愿、西村格也、香月慶太、檀淳、湯川孝夫で、まさに
甲南山岳部草創期の主力メンバーと行を共にされたのだった。四男の輝夫氏(神戸一中、東京高校、阪大の
山岳部OB)から最近本書を甲南山岳会にご寄贈いただいた。


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