3 永井智雄著『光と影の国で』−たたかいのスペインを行く−
新日本出版社 (1979) 定価820円
永井智雄(1914−1990
本名・飯沼 修)は旧制甲南高校在学中の昭和9年、治安維持法違
反の容疑で他の山岳部員と共に検挙された白亜城事件に連座し、甲南を中退後同志社に進ん
だ。後に俳優座所属の新劇俳優、また「新劇人会議」書記長として活躍。かつての人気連続
TV番組「事件記者」の相沢キャップとしても著名。
甲南時代に山岳部に在籍したことはあまり知られていないが、当時の山岳部の部報にF.
Smythの ”The Kamet
Expedition” の翻訳を発表している。
本著は1978年の著者の二度目のスペイン旅行の紀行文の形を採っているが、ときあたかも
かのフランコ独裁政権の崩壊直後のこと、40年にわたるフランコ政権以前のスペイン内戦、
人民戦線と国際義勇軍のことや、これらに対する旅先での当時のスペインの人たちの発言、
感触などが詳述されていて興味深い。いくつかある著作の中からこの一冊を選んで紹介した
次第。