7 平井一正著『初登頂』−花嫁の峰から天帝の峰へ− ナカニシヤ書店(1996)
定価2900円
著者平井一正氏(1931− )は神戸大学名誉教授、京都大学士山岳会会員、神戸大学山岳
会会員、甲南山岳会名誉会員。 神戸大学退官後、甲南大学に理工学部教授として1995−2000年
在籍、山岳部の顧問を勤めた。
古くはチョゴリザの初登頂(1958年京大隊)に始まり、サルトロカンリ遠征への参加
(1962年京大隊)、隊長として率いたシェルピカンリ(1976年神戸大隊)、更には総隊長を
務めたクーラカンリ(1986年神戸大隊)など、そのどれもが無事故で初登頂を極めたという
類稀なる経歴を持つ我が国第一級のヒマラヤニストである著者は、甲南山岳部にとっては救
世主。大学山岳部の顧問を引き受けてくれる教員がなく、部の存続問題にまでなっていた丁
度その時、神戸大学を退官されて甲南に来られたのが平井先生で、山岳部顧問への就任を当
時の理事長小川守正先輩の依頼に快く応諾されたのだった。
余談だが、本著出版直後のこと、書店でこれを見つけた筆者はその奥付けの著者の略歴に
現甲南大学教授とあるのを見てびっくり、早速神戸の牧野宏君に電話を入れたところ、既に
山岳部顧問になっていただいているとのことだった。
本著では、上記の処女峰登頂にいたる海外遠征登山記に加えて、著者の山登りの原点であ
る京大山岳部時代のこと、著者にとっては幻となったカンチェンジュンガ遠征の顛末、更に
は最近の横断山脈縦断記などが、計画にかかわった人々、出遭った人々のことどもが愛情の
こもった筆致で語られている。
筆者が後に本書の扉に頂いたサインには「初登頂、それは永久に消えない記録として残る。」とある。
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